神童のマルクトゥール 〜 鳳凰の皇鳥 〜
良きにつけ悪しきつけ神童のマルクトゥールはよく笑った
『人の不幸を笑うとは何事か』と人々は口を揃えて言ったが
“生を受けたことに日々、感謝できないものたちが俺に何かを語ることはできない”と言っていっこうに忠告を聞こうともしない
マルクトゥールの伝聞はトキの法皇レイチレッサの耳にも入り、【法を犯す不届き者】として〈罪人台帳〉へ記されることとなった
トキにクァツラは派手な衣装をまといレイチレッサのもとへと向かうのである
沿道を横切る者たちはクァツラの衣装を見て驚き、トキに笑う者さえある
それほどクァツラの衣装は限度を超しているのである
マルクトゥールはそのクァツラを見て“彼は幸福だ”と言う
「
セインツ麗しきこの国の誉れよ
今 南戸木の中でコウノトリをトキに選定いたす
我らがコウ イリアス帝の聖鳥としてトキが時を刻むのである
コウフクをフコウと呼び
フコウをコウフクと呼んだ
悪しき慣習を月弓に変わって行わればならぬ
セインツ遥かなるこのヤマトの輝きを
葦原にトキの三女神を
われ今 堕天せしめんとす
イリアスの名において
」
トキをわかつ泉在の苦悩は
潮干珠の御力をきわめに推し
各口承の霊炉を白銀に変える