専断の息透〜心の故郷〜


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『ハシュレイ卿、我々は故郷を失った海の民。しかし、我々の心の中には確かな故郷があります。我々はその故郷を探してはるか東方へと渡ってきたわけではないはずです』



『ナイティアン、それはその通りだ。我々は理想を求めているのであって、受け容れられる場所を求めているわけではない。受け容れられる場所を求めてさ迷うのは流浪の民。しかし我々は海の星を讃える誇り高き海の民。迷っているわけではなく確かな場所を持っているのだ。それが地上にはなくとも我々は我々の星の下に生まれた友』



『かつてイルハポネの戦いの折り、先人ヒポクレネは言った。これは外なる敵との戦いではない人類の人類の内側に対する戦いであると。つまり諸ポリスが真の民主主義的連帯によって融和した後、それを手に入れようとする“人間の欲望”というのが生まれてきた。つまり、これが我々をこの星に送り出す源となった“地球の病”である。それを我々は討ち取るわけではない。内部変革していくのである。途方もない時が必要である。我々が何度、輪廻転生しようともその目的は消えることはない。なぜならば我々が我々によって“地球の病”を癒さなければその病は癒えることはないからである。』




『ハシュレイ卿のおっしゃる通り。我々がイリアス帝を戴きこの東方の国にやってきたのは偶然ではないでしょう。今回の戦で負けたのは必然。決して負け惜しみを言っているわけではありません。明らかに時代があやつらを後押ししておりました。人間の中に芽生えた欲望とは恐ろしいもの。我々がアテナイの下で築き上げたものをあっという間に奪い去っていきました。ミカドは我々の星であって我々を支配する王ではない。なぜあやつらにはこの違いがわからぬでしょうか。我々が自由と民主主義を完遂する場合、それを保障するシンボリックな器が必ず必要になります。鉄の民ヒッタイはこのシンボライズを嫌ったため、滅びました。王は自由を保障しない、と。なんという浅はかな哲学でしょうか。鋼を生み出すことは出来ても鋼の王制を生み出すことは出来なかった。ただの職人集団と言われても仕方のないこと』



『まあ、良いではないか。我々が常に正しいとは限らんだろう。道を見失うからこそ人間であり、だからこそ我々の内なる神がある。そのご祭器としてイリアス帝はいらっしゃるのだ』




“ハシュレイ卿!御伝文でございます。東方の内海からOROCHIを載せた船がやってくるとのこと”




『ハシュレイ卿、いかが致しますか。一旦我が軍は退きますか。』



『退く必要はなかろう。OROCHIはヤマウタの仲間というわけでもないのだろう?』



『ええ、確かに。しかしOROCHIは魔導のものたち。機嫌を損ねれば海は荒れ、天は割れます。8人目の巫女を見たものは目がつぶれるとも聞きます。』




『やけに詳しいな。』




『はい。OROCHIとヤマウタはこの地で何千年も争っていると聞きます。なんでもOROCHIはタカアマハラの使いでヤマウタはナントカナカコクであると言っておりました。彼らの神話はなぜか我々の神話とも通じるところがあり、先日捕縛したヤマウタから詳しく聞き取り調査をした次第でございます。』





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